「ITって何?」から始めるエンジニアへの道

「ITって何?」から始める
エンジニアへの道
IT業界の全体像・職種・収入・学習ステップまで、インフラエンジニア歴14年・現役IT講師が14年の経験をもとに解説します。
また、「将来はITの仕事をやってみたい」「ITエンジニアって稼げると聞いたけど、実際どうなんだろう」「文系だけど、IT業界に入れるのかな」——こういった疑問を持ちながらも、調べてみると専門用語が飛び交っていて、「やっぱり自分には難しいかも」と感じてしまった経験はありませんか。
実は、私が講座で担当する受講生のほとんどが、最初にそう感じています。IT業界の入口は、外から見ると壁が高く見えます。しかし実際に中に入ってみると、正しい順番で学べば誰でも十分に活躍できる業界です。
この記事では、「ITとは何か」という超基本から、IT業界の構造、エンジニアの種類、働き方のリアル、そしてキャリアをスタートするために今すぐできることまで一気通貫でお伝えします。難しい言葉はできる限り使わず、現場経験に基づいて書いています。
1. 「IT」とは何か?——3分でわかる基本の話
まず、「IT」という言葉の意味を正確に理解しておきましょう。なぜなら、ITを漠然としたものとして捉えていると、自分のキャリアにどう活かせるかイメージしにくくなるからです。また、日常生活との関係を知ることで、より身近な概念として捉えられるようになります。
ITの定義をシンプルに言うと
「IT=難しい」。最初はそう感じる人がほとんどです。私が初めて担当した研修でも、受講生の9割が「自分にできるか不安」と書いていました。でも安心してください——ITには正しい順番があり、その順番さえ守れば誰でも理解できます。
つまり、IT(Information Technology)を日本語にすると「情報技術」です。要するに、「コンピューターとネットワークを使って、情報を集めて・処理して・伝える技術」のことです。
この3つが組み合わさって、現代社会のあらゆるサービスが動いています。スマートフォン、GoogleやAmazonなどのWebサービス、電車の自動改札、コンビニのレジ、病院の電子カルテ——これらはすべてITの産物です。
IT人材の需要はこれからどうなるか
2019年3月に経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査」(みずほ情報総研株式会社による委託調査)によると、IT需要の伸びが高位シナリオで推移した場合、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると試算されています。
IT需要の伸びを中位シナリオ(年平均成長率約2.7%)とした場合でも、2030年時点で先端IT人材が約54.5万人不足すると試算されています。同調査では需要の伸びを高位・中位・低位の3シナリオで試算しており、高位シナリオでの最大値が約79万人です。
この状況は、これからITを学ぼうとしている学生・若手にとって大きなチャンスです。IT業界は現状、学び続けることで市場価値を維持・向上できる業界です。
2. IT業界の全体像——どんな会社・仕事があるのか
次に、IT業界全体の構造を把握しましょう。つまり、IT業界がどのような会社・職種で構成されているかを知ることで、自分が目指すべき方向が見えてきます。さらに、業界の特性を理解することで、転職活動での企業選びにも役立ちます。
「IT業界」と一口に言っても、実際にはさまざまな種類の会社があります。どの種類の会社に入るかによって、仕事の内容や働き方が大きく変わります。
| 会社の種類 | 特徴・仕事内容 | 代表的な企業例 |
|---|---|---|
会社の種類と特徴さらに、SIer(システムインテグレーター) | クライアントからITシステム開発・構築を受注し、設計〜運用まで一括して担う | NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所 |
| SES企業 | エンジニアをクライアント現場に派遣し、システム開発・インフラ構築・運用などを担う | 中小のSES専業会社が全国に多数存在 |
| Web系企業・スタートアップ | 自社サービスを保有し、自社で開発・運営する。裁量大・最新技術を積極活用 | メルカリ、LINE、サイバーエージェント |
| ITコンサルティング会社 | クライアント企業のIT戦略立案・実行を支援する。技術力+ビジネス思考が必要 | アクセンチュア、デロイト、IBM |
| ユーザー系企業(情シス) | 銀行・メーカー・小売業などの自社情報システム部門。安定性高く深夜対応が少ない傾向 | 各業種の大手・中堅企業の情報システム部門 |
IT未経験・若手がインフラエンジニアとしてキャリアをスタートする場合、SES企業から現場に入るルートが業界で最も一般的なパターンです。SESは「さまざまな現場を経験できる」という特性があり、正しい行動をとることでスキルアップの機会に恵まれる環境です。
3. エンジニアの種類——自分に向いているのはどれ?
続いて、エンジニアの種類を整理します。一方で、「エンジニア」と一言で言っても、その役割は多岐にわたります。そのため、各職種の違いをしっかり把握したうえで、自分に向いている方向を見極めることが重要です。
「エンジニア」にはさまざまな種類があり、担当する領域によって仕事内容が大きく異なります。
インフラエンジニア
ITシステムの「土台」を支える仕事です。サーバー、ネットワーク、データセンターなど、システムが動くための基盤を設計・構築・運用します。私自身がもともとインフラエンジニアとしてキャリアをスタートした職種であり、現在も多くのインフラエンジニア志望者を育成しています。
- 地道な作業が苦でなく、問題を論理的に追いかけることが好きな人に向いている
- 関連資格:CCNA・LPIC-1・AWS SAA・AzureFundamentals
- 未経験からでも資格取得+SES経由で入りやすい職種のひとつ
アプリケーションエンジニア(バックエンド)
Webサービスやアプリの「裏側」を作る仕事です。ユーザーが画面で操作したデータを処理したり、データベースと連携するプログラムを書きます。使用言語はJava・Python・Ruby・PHPなどが一般的です。
フロントエンドエンジニア
Webサービスやアプリの「見える部分(画面)」を作る仕事です。HTML・CSS・JavaScriptを使って、ユーザーが実際に操作するUIを開発します。デザインへの関心がある方に向いています。
クラウドエンジニア
AWS・Azure・Google Cloud(GCP)などのクラウドサービスを使ったシステムの構築・運用を担う仕事です。近年、最も需要が高まっている職種のひとつです。インフラエンジニアとの重なりが大きく、CCNAで学んだネットワーク知識がそのまま活きる分野でもあります。
セキュリティエンジニア
ITシステムをサイバー攻撃や情報漏洩から守る仕事です。インフラ・アプリ両方の知識に加え、攻撃者の手法を理解したうえで防御策を設計します。「どうやって破るか」を考えることが好きな方に向いています。
4. IT業界で働くリアル——収入・働き方・やりがい
また、IT業界の実態についても正しく知っておく必要があります。例えば、収入・働き方・やりがいは職種やフェーズによって大きく異なります。したがって、特定のイメージだけで判断するのではなく、多角的な視点で考えることが大切です。
実際の年収はどれくらいか
IT業界の年収は、職種・経験年数・スキルによって大きく異なります。以下は現場経験と業界知識をもとにした目安です。個人の保有スキルや案件単価によって大きく変動することをご承知おきください。
上記の金額は業界の一般的な傾向をもとにした目安であり、勤務先の企業規模・保有資格・担当案件の単価・働き方(正社員・フリーランス等)によって大きく変わります。特定の年収を保証するものではありません。
残業・働き方のリアル
「ITエンジニアは残業が多い」というイメージがありますが、これは業種・会社・担当業務によって大きく異なります。SESのインフラ運用監視では24時間365日のシフト制が基本のため、深夜帯や休日出勤が発生する現場もあります。一方でネットワーク変更作業やサーバーメンテナンスは、利用者が少ない深夜帯に実施するケースが多く、夜間作業が発生することもあります。
ただし、クラウド化の進展や自動化ツールの普及により、以前と比べて夜間作業の頻度は下がっている傾向があります。またリモートワーク対応が進んでいる現場も増えています。
ITエンジニアのやりがい
- 問題を一つひとつ追いかけて原因を特定できたときの達成感は、この仕事ならではのもの
- 自分が構築に関わったシステムで多くの人がサービスを利用しているという実感を得られる
- スキルを持っていれば場所を選ばずに働けるという自由度の高さ(リモートワーク・フリーランス等)
- 努力とスキルが年収に反映されやすい業界特性がある
5. 文系・未経験でもエンジニアになれるのか?
さらに、「文系だからエンジニアは無理」という思い込みについて解説します。なぜなら、この誤解が多くの方のチャレンジを妨げているからです。しかし、実際には文系出身のエンジニアは少なくなく、重要なのは学部よりも意欲と継続力です。
この質問は、講師として最も多く受けるものの一つです。
結論から言えば、なれます。ただし「正しい準備と学習の継続」が必要です。
文系出身者が優れている部分もある
技術力だけがエンジニアの仕事ではありません。「ドキュメント作成・報告書の文章力」「顧客・上司とのコミュニケーション」「非技術者への説明力」など、文系出身者が得意とする能力は、現場でとても重要です。
「数学が苦手」「プログラミング経験がない」は問題か
インフラエンジニアを目指す場合、プログラミング経験がなくても問題ありません。インフラの仕事はサーバーやネットワークの設定・管理が中心であり、日常的に複雑なプログラムを書く機会は少ないです。数学についても、インフラエンジニアの日常業務で高校数学以上の知識が必要になる場面はほとんどありません。ネットワークのサブネット計算などで2進数・16進数の知識が必要になりますが、これは学習の中で自然に身につきます。
文系・非IT職種からSESインフラエンジニアに転職した受講生に共通しているのは「ITに興味を持ち続けていること」と「最初の資格(CCNA等)を取得してから現場に入っていること」の2点です。資格があることで、配属先の現場の信頼度が変わります。
6. ITの基礎を学ぶ最初の一歩
そのため、ここでは実際に学習を始めるための具体的な方法を解説します。また、最初から完璧を目指す必要はなく、まず動き始めることが最も重要です。一方で、方向性を間違えると遠回りになるため、正しい最初の一歩を知ることが大切です。
インフラエンジニアを目指す場合の学習ステップ
アプリケーションエンジニアを目指す場合
- まずはPythonかJavaScriptを始める
プログラミング初学者にはPythonが特におすすめ。文法がシンプルで学習リソースが豊富。Progate・paizaなどのサービスを活用しながら「書いて動かす」経験を繰り返す。 - 何か小さなものを自分で作ってみる
チュートリアルを終えたら、小さくても「自分が欲しいと思うもの」を作ってみる。プログラミングの楽しさと難しさを体感できる。 - 基本情報技術者試験(FE)の取得を目指す
プログラミング基礎・アルゴリズム・DB・NW全般を体系的に学べる国家資格。アプリ系エンジニアを目指す場合の最初のマイルストーンになる。
7. IT資格の全体マップ——最初に目指すべき資格
続いて、ITキャリアを構築するうえで欠かせない資格の全体像を解説します。なお、資格は目的ではなく手段であることを忘れないでください。つまり、資格取得を通じてスキルを証明し、案件や転職に活かすことが本来の目的です。
| 資格名 | 種別 | 対象 | 難易度目安 | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| ITパスポート | 国家資格(IPA) | IT未経験者全般 | ★☆☆☆☆ | IT全般の基礎用語・概念の習得 |
| 基本情報技術者試験(FE) | 国家資格(IPA) | アプリ系を目指す方 | ★★★☆☆ | クラウド・開発系の資格さらに、プログラミング基礎・アルゴリズム・NW等の習得 |
| CCNA | ベンダー資格(Cisco) | インフラ系を目指す方 | ★★★☆☆ | ネットワーク基礎を体系的に習得。SES転職時の証明にも有効 |
| LPIC-1 | ベンダー資格(LPI) | インフラ系エンジニア | ★★☆☆☆ | Linuxサーバー基礎の習得。CCNAと組み合わせると幅が広がる |
| AWS CLF | ベンダー資格(AWS) | クラウドに興味がある方 | ★★☆☆☆ | AWSの全体像・基本概念の理解。クラウド入門資格として最適 |
| AzureFundamentals(AZ-900) | ベンダー資格(Microsoft) | Azureに興味がある方 | ★★☆☆☆ | MicrosoftのAzureの基礎。Windowsサーバー環境の多い日本で有効 |
インフラエンジニアを明確に目指すなら、「ITパスポート → CCNA → LPIC-1 → AWS CLF/SAA」の順番で一つずつ取得していくのが最も効率的です。焦って複数の資格を同時進行させるより、一つずつ確実に取得していく方が結果として早く実力がつきます。
8. よくある疑問(FAQ)
ここでは、IT未経験の方から多く寄せられる質問に答えます。また、同じ疑問を持つ方が多いため、自分だけではないことを知っていただければ幸いです。さらに、より詳しく知りたい場合はお気軽にご相談ください。
転職・キャリアについて
資格・学習について
スキル・就職・お金について
9. まとめ
最後に、この記事のポイントを整理します。以上のように、IT業界への第一歩は決して難しいものではありません。また、小さな行動の積み重ねが大きなキャリア変化につながります。したがって、今日できることから始めてみてください。
✅ この記事で覚えておきたい5つのポイント
- ITは「情報を集めて・処理して・伝える技術」であり、現代社会のほぼすべての業種に不可欠。経済産業省の試算によると2030年には最大約79万人のIT人材不足が見込まれており、IT人材の需要は高い状態が続いています(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」2019年)
- IT業界にはSIer・SES企業・Web系など多様な種類がある。未経験スタートとしてはSES企業から入るルートが業界で最も一般的
- エンジニアには「インフラ・アプリ・クラウド・セキュリティ」など多くの種類がある。自分の興味と適性をもとに方向性を決めることが最初の一歩
- 文系・未経験でもエンジニアになれる。必要なのは「正しい準備(資格取得)」と「学習の継続」。インフラ系ならプログラミング経験は最初は不要
- 最初に目指すべき資格:インフラ系なら「ITパスポート → CCNA」、アプリ系なら「基本情報技術者試験」。一つずつ確実に取得することが最速の道
ITを学び始めるのに、今日以上に最適な日はありません。「ITパスポートのテキストを1冊買う」「YouTubeでネットワーク入門の動画を1本見る」——その小さな一歩から始めてください。
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